お通夜です
昨日の夜お父ちゃんは、ずっとカンジをお腹に抱いていました。
何も反応がなくなったカンジを抱いて、お父ちゃんは
鼻歌のような、子守唄のような、口笛のような
かすかな音で、何か歌ってあげていました。
よだれがひどく、お父ちゃんが3時間後に立ち上がったら、
お腹からお尻まで、びっしょり濡れていました。
私はお父ちゃんが寝た後も、気になって寝られませんでした。
ずっと、(今息が止まるんじゃないか?)と思って
目が離せなかったのです。
しばらく眺めていましたが、ふとカンジが死ぬのを
待っているような、そんな気がして、、、
そうしたら、カンジが本当に大きく息を吸って
ハァーと吐いたので、経験から(もうすぐだな)と
思ったのですが、オイルヒーターを付けて、
電気も点たままにして、
「また明日ね、生きていてよ」
と話しかけて、寝ることにしました。
朝起きてきたジャミラ君は、冷たくなろうとしている
カンジをじっと眺めていました。
結局、お兄ちゃんの帰宅が遅くて、とっぷり
日が暮れたので、埋葬は明日の早朝にすることにしました。
ジャミラ君は、学校帰りにカンジにあげるんだと言って
「狐の小判」を採って帰ってきました。
カンジの足元にパラパラと撒いていました。
棺の中を、お花で埋めました。
今夜はお通夜です。
カンジの棺の前で、お父ちゃんは最期の
晩酌に付き合ってもらっています。
小さい時に、お酒を浸したするめを食べさせて、
酔っぱらわせたことがあったね、カンちゃん。
肉球を撫でたり、あれこれと話しかけています。
ジャミラ君は、
『猫缶、食べさせてあげたかったね〜』
と言っていました。
お兄ちゃんは、
『なんか、こうやって見ていると
動いたような気がする、、、。』
と、、、
私も、何かの瞬間、ふっと動いたように見えて
何度もドキッとしてしまいます。
それほど、綺麗なままなんです。
お父ちゃんを慰めようとしているのか、その逆
なのか、ちぃちゃんがお父ちゃんから離れません。
そんなちぃちゃんに、さっき、お父ちゃんがうっかり
『おい!カンジ!』
と話しかけて、苦笑いしていました。
猫HIVだと言われたのはちぃちゃんが来た6月でした。
あっという間だったね。
自分の替わりに、ちぃちゃんを呼んでくれたのかも
しれないなと、お父ちゃんと話しています。
関連記事